MEMS部材の両振り応力条件による疲労挙動評価技術の開発

名越貴志
(特定国立研究開発法人 産業技術総合研究所 研究員)

2017年6月8日木曜日

今更ながら研究のご紹介

始めまして.長いこと更新をさぼっておりました産総研の名越です.

出身大学は東工大で,修士から微小試験を使った力学的特性の評価について
研究を進めています.

試験片のサイズが小さくなると,サイズ効果というものが現れることが知られています.
一部の方は量子サイズ効果を連想されるかもしれませんが,
力学的特性におけるサイズ効果はミリ,マイクロオーダーから現れるもので,
試験片サイズの減少に伴い材料の強度が上昇するというものです.

この現象を理解するためには,材料の変形についての知識が必要となります.
たとえば,セラミックなどの脆性材料の場合,材料はある応力において
最も大きな欠陥を起点として亀裂が進展し,即座に破壊に至ります.
しかし,材料が小さければ大きな欠陥が存在しない可能性があり,
小さな欠陥が亀裂進展の起点となるため,破壊には大きな応力が必要となります.

他方,金属などの延性材料の場合,材料は塑性変形を起こします.
この塑性変形のメカニズムは材料によって様々ですが,
広く使われている多くの金属は「転位」の運動によって変形を起こします.
「転位」は結晶内部に存在する局所的な格子のずれであり,
これが試料内を端から端まで移動することで,格子面が一原子分ずれ,
せん断の変形をもたらします.このような転位の運動が繰り返されることで
結晶が変形し,結晶の集合体である材料が塑性変形します.
この転位は材料内部に線欠陥として存在しており,その長さも様々ですが,
材料が小さくなると,線欠陥としての転位が分断され,
短い転位としてしか存在できなくなります.そのような転位を
動かすためにはより大きな力が必要となるため,材料の強度は上昇します.

上記が転位によって変形する材料のサイズ効果として理解されている内容ですが,
他の変形機構で変形する材料はどのようなメカニズムが存在しているのか
まだ解明されていない点も多く,これを研究することによって,
変形への理解をより深め,これを高強度材料創成の指針とすることを目標としています.



研究内容だけを見ると,基礎研究過ぎて産総研らしくありませんね.
産総研としての活動も今後,紹介していければと思います.
よろしくお願いします.

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